獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200402-9

Re:ヘルニア
投稿日 2004年2月3日(火)18時00分 パールちゃん

椎間板(ついかんばん)は椎体(ついたい)という背中の骨1個1個を結ぶクッションの役割をしています。
  
  ↑背側
-------------------
□|□|□|□|□|□|□
  ↓腹側

(上図)
イヌを真横から見た場合、「□」が椎体、「|」が椎間板、「-----」が脊髄、
並んだ椎体の背側に体中の神経と脳をつなぐ中枢神経である脊髄が走っています。

椎間板それ自体は軟骨状で、中心部は髄核というゼリー状、その回りを繊維輪が取り囲んでいます。
椎体の老化や過度の負荷、外傷や先天的要因によって椎間板が損傷したり硬化したりすると、
椎間板内部の髄核や繊維輪がはみ出してきて脊髄を刺激・圧迫します。
そうなると運動麻痺や反射神経の麻痺、痛みや発熱を引き起こします。
初期症状は、歩くのを嫌がる、段差の昇り降りを嫌がる、
歩き方が遅くなる、ふらつく、抱かれたりさわられたりするのを嫌がるなどです。
早期にレントゲンやMRIでヘルニア部位の特定と麻痺の程度を検査する必要があります。
軽症のうちは痛み止めや神経の炎症を抑える薬、ビタミン剤の投与などとともに安静を実施しますが、
それでも回復が見られなければ外科的に髄核を取り除く手術が検討されます。
が、炎症が脊髄に与える影響は進行がとても早いため、重症になってからでは手術の効果は望めません。
ごく初期のうちに内科的な治療に手を尽くすのが最善です。
投薬と安静で重症にさせないことがいちばん大切です。

後天的な要因によるイヌの椎間板ヘルニアは一般には5歳前後から発症しますが、
特に動きの活発な個体は2歳くらいから発症することがあります。
ダックス系、コーギー、ビーグルなどの胴長短足体型に多く、
シーズー、ヨークシャーテリア、トイプードルなど骨の細い小型犬にも見られます。

トムリンさん、安静が大切です。
歩けるのならまだごく軽症です。
歩かないように安静にさせることはできますか?
仲間といっしょだとついつい動き回ってしまうでしょうから、
別室でケージに入れておくことはできますか?
精神的にはよくないことだけれど、今のRUNちゃんは心より体が優先だと思います。
椎間板ヘルニアは初期の何日間かが勝負です。
軽症と重症の分かれ目は安静の度合いです。

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