獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-201008-7

Re5:野良猫の怪我とエイズ
投稿日 2010年1月13日(水)10時45分 投稿者 プロキオン

>肩あたりの神経は動くようですがその下からの神経はないようで
うまくおしっこが埋まりません。
( 中略 )
急に神経障害になってしまうには、どんなことが原因なのでしょうか?

神経支配ということであれば、上位中枢による「抑制」とより下位の中枢による「亢奮」という相互の支配があります。足を曲げたり伸ばしたりということであれば、下位中枢は足を伸ばそうという支配を行いますが、下位中枢にまかせたままだととんでもない強い力で足をピンと伸ばそうとします。蹴り上げてくるような感じです。その余分な力を上位の中枢が緩和するというか、歩いたり体を支えるのに程よい力に調節しているということになります。
下半身麻痺の猫の後ろ足が関節で曲がらずにピンと伸びたままの1本の棒のようになっているケースですと、運動神経の下位中枢は生きていて、上位の中枢が存在している箇所がダメージを受けている事になります。
後ろ足がダラーと麻痺しているケースですと、下位の中枢がダメージを受けているか、あるいは下位と上位の両方がダメージを受けているということになります。
知覚神経ということになりますと、神経の走行経路にそって痛覚を中心として感覚の有無を神経の出入単位でチェックしていくことになります。また、固有の位置感覚というのもチェックしていく必要があります。

で、所謂人間での神経痛で手が動かせない足が動かないという症例ですと、本人は多少なりとも前兆を感じ取っているものなのですが、傍からはある日突然に手や足が動かなくなったように見えるものです。頚椎に痛みはあるが、左の手は感覚を感じず動かす事もできないというようなことも見受けられたりします。
動物では、本人が口をきいてくれませんから、そのあたりのこととなると獣医師には実際のところがどのような経過であって、今どこが痛いのかどこなら痛くないのかは、なかなか把握がむずかしいです。
また、猫においては後ろ足の麻痺に「血栓の塞栓症」というのがありまして、血管に血液が流れなくなって麻痺をきたすという疾病もあります。今回の症例においては、貧血や黄疸がありますので、神経だけでなく血流の問題としても考え合わせて行った方がよいかと思いますし、さらにもう一つ別の問題もあります。(これは話がさらに長くなりますので省略しますが)


>何度も読みましたが、素人なので完全に理解できないのですが今この猫はどんな治療をすべきなのでしょうか?

それを言ってしまうことが主治権の侵害にあたるのですよね。
今、記載されている症状が左前足の麻痺であるのなら、その治療です。貧血や黄疸があるのなら、その治療です。腎不全と診断されているのなら、その治療です。
各々の治療について、それぞれの獣医師がどのような手法手技で治療を実施するかは、統一されているわけではありませんから、そこに口出しはできません。同時に、このような検査や項目をチェックしてありますかというのもデリケートなお話となります。とくに神経疾患は、脳からずっと診てこないと分からない事が多いです。

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