獣医師広報板ニュース

ウサギ掲示板過去発言No.1500-200604-8

ショック状態 の顛末
投稿日 2006年4月4日(火)23時23分 投稿者 チーママ

ちょっと長くなりますが、こういう事もあるのだという参考のために投稿しておきます。
すぐに報告できなかったのは、やっぱり当日は気が動転していることもあって、
記憶が不確かで(^^;; 再度先生に確認する必要があったからです。

先月、3月16日の明け方。(用があって会社は休みを取っていました)
昨晩は夜中まで遊びまわっていたユキ。
ところが明け方5時くらいに気が付くと、ユキが部屋の隅の隙間風が入る
冷たい床にうずくまっている。
抱き上げてもおとなしすぎる。目は開いているものの、表情がない。
夏がけを広げたソファに置いて、布団をかけてもじっとなすがまま。
この時点で絶対変だと思いました。
発熱はしていないようで、かえって冷えているので、ペットボトルに
お湯を入れてそばに置き、布団をかけて・・・。
でも、ふと目を離した隙に、また元の冷たい床に・・・
何しろ保温に気をつけて、安静にして朝を待ちました。
そして9時前に病院へ連絡して診察をお願いしました。
一目見た先生は「目の色が悪い。呼吸もあさいし。ショック状態ですね」
と、まずは酸素。酸素チューブをそばに置いてしばし。
「ショック状態回避のためにステロイド(プレドニゾロン)を打ちますね」
ショック状態とは、抹消血管が縮こまって血行が悪くなっている状態。
この縮こまりをほぐし、血行を良くする事が目的です。
「点滴の用意をします。10分後にまた様子を見ます。」

そして10分。
「変化がありませんね。
 まずはレバギニン(総合ヴィタミン)。これは腸内活動が止まって肝臓に
 脂肪がたまるのを予防します。
 そして輸液をします。また消化管を動かすためにプリンペランを入れます。」
このプリンペランは通常経口投与されます。
でも今回のような時は、胃酸がたくさん出て、薬効が出ないことがあるそうなので、
皮下注射するそうです。まずは消化管を動かして、分泌物を正常にして、後に必要なら
経口投与。一種の呼び水のようなものです。
こうした時血管からの投与は浮腫を起こすことがあるので、背中への皮下注射です。

そしてまた10分。先生が来ました。
「変化がないですねぇ。
 膿瘍だ、子宮の腫瘍だといっても、結局はこれでウサギさんは命を落とすことが
 多いのです。 これで呼吸がしゃくりあげるような状態の時は、触っただけでも
 ショック死することがあるんです。
 ちょうどハムスターの冬眠と同じに、体の機能が極端に低下しているので、
 どういうわけか冷たいところに行きたがるんです。(そうです!そうです!)
 体の消耗を極力抑えようとする自然な行為なのでしょうね。」
と、先生がユキの鼻づらに手を近づけた時、わずかにユキの鼻が動きました。
「あれ?反応するね。 ちょっとペレット持ってきて!」
ペレットを差し出すと、プイッと少し横を向きました。
「ああ、これは嫌なの(笑)じゃあ、マッサージをしてみましょう」

診察台の上でユキを保定しながら、背骨の両脇を指圧していきます。
「ここの肋骨の部分のところから下が、消化器のツボなの。
 ああ、すごくかたくなっているねぇ。ここを揉み解して・・・」
先生がせっせとマッサージしていると。
あれ?!というように、ユキの目に表情が出てきました!!!
「どうやら大丈夫なようですね。入院させる手もありますが、僕はやはり慣れた
 環境の自宅でのケアを薦めますけど」
ええ!もちろんです(^^)
「さっき投与した薬には、食欲の神経を刺激する成分もはいっているので、
 しばらくすると食べなくなることもあるので、今日は指示通りに投薬してください。
 明日はまた様子によって指示しますから、朝連絡をくださいね」
先生のお話を聞いている傍らでは、キャリーに入ったユキが
「なんで ワタチはここにいるのー!!怒」ってクッションをバリバリやっていました。

先生の心配をよそに、帰宅したユキは大いに食べ、何の異常もない糞をし、
いつもどおりにいたずらし・・・
でも指示通りに経口でプリンペランとステラロール(副腎皮質ホルモン)を
投薬しました。
翌朝経過と状態を聞いた先生は
「そうか。それはよかった。じゃあ、投薬はナシでいいですよ(^^)」
と、一件落着しました。

本当に原因は何だったのでしょう?
どのような状況でショック状態になったのか、眠っていたので分かりませんし…
引越しなどの環境の変化ばかりでなく、隣で工事があった、なんていうこともあるそうで、
先生にも原因は分からないことが多いそうです。
本当に、ウサギは難しい!
ただ、皆さんも
・目は開けているけれど表情がない。いつもよりおとなしい。
・鼻ピクピクがかすか。声をかけても好物を上げても反応がない。
・寒い(冷たい)ところに行きたがる。
こんな状況の時は、ご注意を。

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