獣医師広報板ニュース

モモンガ掲示板過去発言No.1600-200406-29

☆Hitomiさんへ★
投稿日 2003年9月18日(木)01時20分 投稿者 GREEN・VALHALLASPHE

初めましてHitomiさん(^-^)/
書き込みを読ませていただきました。
とても悲しい体験をなされたのですね。
アールグレイちゃんの御冥福を御祈りします。
Hitomiさん自分を攻めながら、その償いとして自らの過ちを認めて
繰り返してはいけないと反省されているのですよね?
実は自分も同じようなことをしましたのでお気持ちは良くわかりますよ。

さて、ごく私見と疑問点ですが気になったことについてです。
1.モモンガに適した飼育環境を知っていたか?
極端な話、モモンガは涼しいところを好み、暑いところは苦手です。
また、恒温動物でも体が小さいので、周りの温度や湿度に大きく左右されます。
汗をかいたり放熱するところは鼻や耳、肉球のみで熱はこもりやすいと言え、
犬のようにハアハアして体温を下げることは出来ない為、
しばしば涼しい場所や冷たいものにまとわりつき、体温を下げて調節しようとします。
モモンガが暑いがっているサインは、巣から巣材を出す、水分をやたら欲しがる、
オシッコの量が多い、洗濯物かカーペットのごとくべろ〜んとのびた格好になっている
などですが、他にも色々な行動をとる子がいますので気をつけて観ていけば
うまくコミニュケーションが出来ます。

以上の事から、モモンガが暑がっていると感じたら気温は涼しめに保って
暑さ対策をしておく必要が有るでしょう。
個人的な私見ですが空調で一年中同じ温度にしておく事は
正常な換毛リズムを妨げる可能性が有るので避けたほうが良いと思います。

2.熱中症の処置について
観察、処置については基本的に人間と同じです。

観察ですが、バイタルサイン、意識、めまいや頭痛、吐き気、痙攣などを先ず診ます。
体温、脈拍、呼吸、血圧などのバイタルは詳しくは診れませんが
呼吸の具合ならみれるし、この場合呼吸はものすごく大事な観察点となります。

熱中症の場合、体が熱せられ熱が外に逃げて行かない状態です。
その為心臓はかなり過度に動き、汗をかいた場合は塩分が体の外に逃げるため
多量の塩分を消費します。
しかし、体の塩分が少なくなってくると心臓の動きも悪くなり血液をうまく流せず、
脳や内臓に血液が行かなくなり、その結果酸素や栄養分が来ないので
ショック意識障害などを起こします。
また脱水と塩分などの電解質を失うことにより血圧が低くなったり末梢の循環が悪くなって
手足が冷たかったり皮膚が青白くなったりします。(目の回り、鼻、耳、肉球)
さらに血液中の水分が薄まることにより血液がドロドロになり
詰まったり固まったりしやすく、そうなれば脳、肺、肝臓、腎臓などで
つまりが生じた場合に多臓器不全や心筋梗塞、脳梗塞となり重症化や死亡しやすくなります。

従って処置ですが保水と冷却が重要となります。
水分は冷やした小児用ポカリスエットがベストだと思いますが、
無ければ硬度の高いミネラルウォーターか少ししょっぱい塩水を上げて下さい。
この場合、硬度が高ければ高いほどミネラルが入っていると思っていいですが、
あまり塩を入れすぎたりすると逆に血圧を上げすぎてしまうし飲みにくいので注意して下さい。
Hitomiさんが水分をあげたのは得策だと思います。
硬水やイオンサプライ系ならベストでしょうね。

その次に冷却です。
アイスノンにタオルを捲いてその上にモモンガを乗せて下さい。
そよいで風を送るのも良いですが、やり過ぎれば体温を奪い逆に危険です。
また、体温を測るにもモモンガ用の体温計が存在するのかどうかもわかりませんし
在宅で体温効果の判定も難しいと思います。
従って、ここまで自宅で応急処置を行ったら、一分一秒でも早く動物病院にかかりましょう。
一般の飼い主に出来るのはそこまでで、後は獣医さんの仕事です。

詳しくは熱中症のホームページを参考にされて下さい。
http://www.heat.gr.jp/

3.食べ物もちゃんと残さず食べてくれるものしかあげていなかった
個人的にここがすげー気になります。
夏場は塩分や脂肪分の高いものばかり食わせてると先に触れたように
血液ドロドロになりますので死にやすい要因になりかねないな、と。


自分は元魚飼いですが、魚飼いは「死なせたのではなく殺した」と良く言います。
飼育環境や病気の治療、繁殖全てが飼い主に委ねられており、
その自身の元に自己責任で魚を飼っているからです。
「魚は殺して覚える」と師匠が言っていたように、自分は多くの命を殺めてきました。
そして見出したものが「教訓と改善を見出せそれを活かせねば、結局は無駄死に」という事でした。
手に染みついた血の匂いはなかなか取れませんが、彼の死を無駄にしないよう、
精一杯悲しんで、何かを感じて、次に行かすものへとつなげてあげて下さい。

以上、長くなってすいませんでした。

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