獣医師広報板ニュース

鳥類掲示板過去発言No.1700-200205-78

気嚢と嘴
投稿日 2002年5月26日(日)12時59分 プロキオン

書き込みを拝見する限り、私も気嚢ではなく、「そ嚢内のガス貯留」ではない
かと推測しています。

気嚢は起原からいけば、肺胞上皮や気管支上皮と同じであり、それ自体はごく
薄い膜で形成されています。健康な鳥を解剖した場合には、その存在に気付く
ことなく、破損してしまうのが普通です。呼吸器疾患があると、薄く白濁して
見やすくなります。ですが、それでもアスペルギルスのようなカビが繁殖して
いるような症例でも、気嚢よりもカビの方が先に目に入ってきちゃいます。
そのくらい薄い膜でできているのです。

そして、所謂「気嚢破裂」という状態がありますが、こちらも気嚢が破れて皮
下に空気が漏れ出てきている状態をいっています。この気嚢破裂は、とりたて
て珍しいというものではなく、目撃経験された方それなりにもいると思います。
軽症であれば、針で穴をあけて皮下の空気を逃がしてあげます。逃がしてあげ
ても、また貯留するのですが、これをくり返しているうちに気嚢の傷が修復さ
れます。

解体していないのに皮下に目視できるのであれば、そして破裂することなくガ
ス貯留しているのであれば、それは気嚢であるより、そ嚢である可能性の方が
高いと思います。
また、病態が喚起困難によるものというよりも、そ嚢や消化管内における醗酵
を連想しました。正確な統計があるわけではないのですが、人間が飼育してい
る鳥においては、死亡原因としては、こちらの方がはるかに多いと思います。

あくまでも、どちらの可能性が高いかという推論なのですが。



鳥の嘴については、これは本人を見てみないと、判断できません。

でも、あきららかに餌を拾って食べるのに支障があるのであれば、これは多少
整形してあげて良いと考えます。
かってに切って良いかといえば、切ってあげるのはかまわないのですが、「か
ってに」では困ります。やはり鳥の状態に応じての範囲でお願いします。
とにかく一度、判断のできる方に嘴の状態を見てもらったら良いのではないで
しょうか。


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