鳥類掲示板過去発言No.1700-200509-114
鳥の横隔膜 |
投稿日 2005年9月21日(水)12時39分 投稿者 プロキオン
う〜ん、何と言いますか、「鳥には横隔膜がない」で良いと私も思いま すよ! 私の場合は、大学1年生の頃の解剖の授業が頭にありまして、鶏とその 他の家畜との違いという点で、そのように教えられています。 せっかくですので、解剖学の教科書を開くと、「鶏の横隔膜および気嚢 」という項目に以下の記載となっています。 ーーーここからーーー 鶏(一般鳥類)では、個体発生の途中で、体腔背壁から胸腹膜中隔が伸 びてきた際に、その中隔に前胸気嚢がつきこみ、中隔の一部が肺横隔膜 pulmonary diaphragm と胸腹横隔膜thoracico-abdominal diaphragm に 分かれる(726図 6、7)。この両者の中の胸腹横隔膜を斜隔膜Se ptumovliquumとも呼ぶ。肺横隔膜お斜隔膜を併せたものが家畜(哺乳類 )の横隔膜Diaphragmaに相当する。 それで、斜隔膜の背位の腔所は一見すると胸腔のように思われるが、上 記のように、ここは前胸気嚢の一部であって体腔ではない。また、肺横 隔膜部分でも、この膜は疎性結合織を介して直接肺に付着しているので その間に腔所がない。その他の部分で発生の途中で一時胸膜腔が認めら れるが、完成した個体では記述のように、ここも疎性結合織で埋められ る。結局。鶏では肺を囲んで胸膜腔というものが全然存在しないことに なる。 ーーーとりあえず、ここまでーーー このページの右ページには、鶏の胚の肺の解剖図が掲載されていて、肺 から気管支の一部が伸展してきている絵柄となっています。 そして、その左下にはカメレオンの肺が描かれていまして、カメレオン の肺の気管支から一部が肺外へ伸出してきている絵が比較できるように なっています。 カメレオン(爬虫類)が先なのか、鶏(鳥類)が先なのかは、むろん触 れられてはおりませんが、個体発生の途中で止まってしまったものと、 そのまま生長したものとに分かれたということになると思います。 講師の先生は、別の大学の教授の先生であって、我々の頭にある哺乳類 の完全な横隔膜と異なる不完全なものという意味と、発生の途中で止ま ってしまったもの、不必要なものという意味合いから「退化」という言 葉が理解しやすいと考えられたのではないかと思います。 この教科書の説明に相当する図譜もありますが、この図では少しわかり にくいと思います。 私は鶏を解剖する際に肺の最後端と季肋骨が接する部位が厚くかつ少し 飛び出しているので、この部位が斜隔膜に相当するのであろうと理解し ていました。位置的及び形態的に。 教科書の最初の記述で、鶏の後にわざわざ(一般鳥類)と付け足してい ますから、おそらくその他の鳥類にも摘要してもよいかと思いますが、 「鳥には横隔膜はない」は、ガセビアという程のことでもなく、そもそ も鳥に横隔膜があるなしすら、あまり認識されていません。 一般論としては、鳥に横隔膜はないで充分です、問題のないことでしょ う。そもそも、これを横隔膜であると主張しても、横隔膜の役割をはた していません。 私の言いたかったのも「横隔膜はない」ですし、「本当にないのか、こ ういうものがあるではないか」と突っ込みが入った場合のために「退化 した痕跡のようなもの」に言及したに過ぎません。 私が使用していた教科書は、養賢堂の「家畜比較解剖図説」という最も 一般的なものです。 講師の先生は、日獣大の逆瀬川先生でした。 固有名詞を出してしまいましたが、もう迷惑がかかることもないと思い ますので。 >ひまわりさん 気嚢破裂は、決して珍しい疾患でも治癒し難いものでもありません。 余計な一言になりますが、おそらく、腹壁の筋肉も裂けてはいないよう に思えます。 |
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