私どもの競馬場では現在７００頭程の競走馬を何人かの獣医で診療しています。各獣医は診療車と呼ばれる車に
殆どの病気に対応できる薬品や機材をつんで各厩舎を動いています。動く診療所のようなものです。
ですから、私が乗馬診療を始める前は皆さん乗馬の先生はそのような感じで動いているのだろうと
思っていました。そうして各乗馬クラブをまわっておられるのだろうと・・・
実際、いくら臨床経験があろうとも、私あたりが乗馬クラブで知ったかぶりなどできるはずもないと思っていました。
縁あってある乗馬クラブを診せていただいた時、確かに設備、薬品、器材はSUTEMARUｾ先生がおっしゃったように
不足がちであると思いました。でも、どなたかが静脈注射をうつことができるので、必要な薬品を置いておけば、
こちらからの指示で早期に治療ができます。要はホームドクターではないのですが、いつでも相談できる獣医さんが
いらっしゃれば殆どの病気は治せると思います。そして、乗馬クラブで手に負えなくなってはじめて私どもが呼ばれる訳
です。現在、私どもが行なっている競馬場治療は殆どが急性のものです。そして乗馬クラブでのそれは慢性であることが多いのです。
それゆえ最初は迷いました。治療も困難でした。しかし、お互いのコミュニケーションがとれれば慢性のものが急性となって
治療もやりやすくなるのです。私はこれからも、乗馬の方々と教え、教わりながら診療をしていきたく思っております。