獣医師広報板ニュース

馬・ロバ・ポニー掲示板過去発言No.2200-200612-84

ポニー削蹄の件
投稿日 2006年9月1日(金)00時02分 投稿者 toshiki

SUTEMARU先生、確かに先生のおっしゃるとおり、軽薄な発言でした。

ただ、乗馬や競馬の世界を知る方には蹄を削るということは、蹄鉄をはくこと、そして、まず馬を飼育することの前提となることを理解して飼育するため、削蹄師、装蹄師さんとの接点が前提になりますが、私のような乗馬さえ経験したことのない一般の人がポニーを飼育する場合、事前にその接点があることはほとんどありませんし、飼って初めて直面する問題となります。(もちろん経済的にもです。)

もちろん、この点を理解していない人はポニーを飼育してはいけないと言えばそれまでですが、現状といえば私を含め、私が知っているポニーの飼育をしている人(9頭ほど)で、定期的に削蹄師をたのんで削蹄を行っている人はありません。それどころか、ほとんどのポニーが蹄を長いまま放置して蹄が割れていたりしているものさえいます。また、蹄の先端ををなたで上から切り落とす人や、車にくくりつけて舗装道路を引きづり回して蹄を削っている人さえいます。ピックアップして、蹄の裏を見ることをする人さえわずかです。戦前から戦後の過去には私の住んでいる町にも馬を飼っていた人が多くおりますが、その人に蹄のことを聞いても、なたで削った程度の話にしかなりません。

私も最初は人づてに削蹄師の人をたのんでおいたのですが、なしのつぶて。成長盛りのポニーのこと、結局、購入してすぐに蹄をのばしたまま放置しておくか、自分で切るかという判断を下さざるを得なくなり、自分で蹄を削ってみることになりました。結果からいえば、のばして放置しておくよりずっと良好な結果を得ることができました。
確かに、レーシングカーやバレリーナ、スポーツ選手であるサラブレッドを自分で蹄を削るなんていうのは故障を最初から作るようなものなのでしょうが、ポニーの場合には、確かに最適な削蹄はできないかもしれないとしても、伸びすぎた蹄を放置しておくより、少しでも削ってやるほうが、はるかに良い健康状態を保てると思います。

イギリスに於いて、蹄を削るという行為がオーナーに開放された理由は、(時代の要請による)削蹄師の不足と、経済上の理由から蹄の管理を放置される馬があとをたたず、次善の策としてこれが了承されたということです。

サラブレッドや蹄装したポニーはともかく、ポニーをオーナーが自らの責任で、自ら削蹄をするということで、(次善ではありますが、)より健康的な蹄の状態のポニーが結果的に増え、より多くの人がポニーを飼育し、最終的には削蹄師や装蹄師の活躍の場が増えるような気がします。

先にも言いましたが、私のポニーの母馬は、一年ちかく蹄を削ってもらえずに、結局病気になり、亡くなってしまいました。最悪の事態の責任はオーナーにあります。
オーナーがオーナーの責任でポニーの健康管理という命の問題を解決しなければなりません。私も最悪の選択肢を選ばないように、オーナーの責任を果たしたいと思っています。

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