獣医師広報板ニュース

野生と自然掲示板過去発言No.4000-200108-56

いや、にぎやかですね
投稿日 2001年8月30日(木)19時58分 プロキオン

こちらのBBSが、賑やかなのは珍しいですね。私は今現在、メール受信不能
におちいっていますので、掲示板に参加するしかないです。

カモシカについては、保護の方向に話が進んでなによりでした。餌を食べてく
れるか否か、まだ問題は残っていますが、こればっかりは現場に頑張ってもら
うしかありません。

マムシの毒ですが、これはやはり犬にも毒です。
ただ、死亡例は比較的少ないようで、「犬はマムシに強い」と良くいわれます。

顔を噛まれて、パンパンに腫れた犬の話を他の先生から聞いたことがあります
が、支持療法しかできなかったけれども、死ななかったそうです。
私の病院へ来院した黒柴が右前足に傷があり、聴診しても右側で心音が聴取で
きなかったことがあります。飼い主に尋ねたところ、マムシに噛まれた痕跡で
した。右側を下にして寝たままになってしまったので、右側の肺が肉様肺にな
ってしまい、心音を遮っていたためのようです。
この黒柴、病院へきた際には外見上は健康でしたし、期日を経るに従って、右
側でも心音が聞こえるようになりました。
実は、この黒柴は目もひらかないうちにドブに捨てられており、マムシに噛ま
れ、その後お産の時に子宮捻転をやり、都合3度死線をさまよい、それを越え
てきたという教運の持ち主でしす。最後の1回は私も手を貸しましたが、来院
がまる1日以上たってからでしたので、やはり並みの犬ではなかったようです。

マムシの抗血清は、普通動物病院では用意していませんので、やはり君子危う
きに近寄らずをまもった方が良いでしょう。
ちなみに 人間の病院でもあまり用意されているとは言えず、地域の基幹保健
所が用意していることになっています。
あまり、登場する機会のない薬剤ですので、メーカーにしてみれば製造をみあ
わせたいのですが、製造0ではやはり困ります。国の施策として一定量の製造
をメーカーに義務付けています。使用する機会があろうがなかろうが、それを
保健所に購入してもらって、最低限の流通を確保しているということなのです。
したがって、人間が噛まれた場合は薬屋さんの倉庫を捜すよりも 保健所へ連
絡をとった方が良いですよ。

毒の種類は大きく分けると、マムシやヤマカガシの「神経毒」とハブの「血管
毒」に分類されます。
血管毒の場合は、赤血球や血管が破壊されたり、筋肉も壊死を起こして、非常
にひどい痕跡を残すことになりますが、噛まれた人は早く治療を開始できる場
合があります。その点、神経毒の場合は傷が小さいので、手当てが遅れがちに
なります。あなどってはいけないのは、どちらもいっしょです。

また、数年前蛇に噛まれたが、その正体が分からないと血清の種類が選べない
ということで、蛇の死体を確認にいったら、すでに焼かれていて判別不能とい
う事件がどこかでありました。
専門科はその焼死体を一目見て、マムシと判定したそうです。マムシはその尾
が細く短いので、胴体がおわると極端に細く短い尾になっているのだそうです。
つまり、「ツチノコ」を連想すればよいのだそうですよ。
色彩については、地域差があり、黒っぽい個体もあるのだそうです。三角形の
頭もあまり確実ではないのだそうです。とくに今回の事件の場合、蛇の死体か
から頭部が失われていたために騒ぎが大きくなってしまったようです。
色彩といえば、チョコエッグ「日本の動物シリーズ」のマムシも赤色個体と黒
色個体の2バージョンがあったくらいです。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。