＞ちゅんちきさん

私もつまるところは、ここだと思います。
森村誠一さんの著書の中に満州における日本の人体実験を扱ったものがあります。７３１部隊と呼ばれている部隊が実施した内容が記述されていますが、その中には、１０１部隊という部隊の存在にも触れられています。こちらは、家畜の疾病の研究で、敵地で飼育されている家畜を疫病によって損害をあたえることを目的としていました。
東大を定年で退官した後、私大にうつってきた教授の１人は、戦時中は満州で「鼻疽」の研究をしていたと聞いたことがあります。場所が満州ですから、御本人はただ純粋に現地でしかできないその疾病を研究していただけなのかもしれませんが、研究の利用方法によっては軍事用に転用できたように考えられます。ワクチンを開発できれば、日本の軍馬にワクチンを接種してから、わざと病原体をばら撒けることになります。
先に、「トリコモナス」の撲滅に尽力して失業してしまった先生がいたことをお話しましたが、私の在籍した大学では、疾病の研究が内在している「正」と「負」の両方の面を垣間見せてくれた先生方がいたということになります。
研究というものがもっている「正」と「負」の顔は、そのまま人間自身に内在されているものと同じものと私は考えています。研究者そして動物実験を行う者の良心に期待し、そして、それを信じたいという私の所以はそこにあります。