動物の愛護掲示板過去発言No.6000-200803-53
動物実験の明日へ |
投稿日 2008年3月31日(月)11時58分 投稿者 プロキオン
>チワワさん 私は、前には「食品衛生監視員」をしていたと書きましたが、家畜保健衛生所で「病性鑑定」の仕事もしていたこともあります。こちらの仕事は死んだ動物がいると、どのような病気で死んだのかを調べる仕事です。 時として、「気腫疽」というような病気の検査に実験動物を使用することがありました。この病気の原因菌である細菌の培養が手間暇がかかったために、動物の種類による「抵抗性」の差を利用して正体を確認するというような検査もありました。 つまりモルモットは死ぬが、マウスなら死なないというようなことですね。両方とも死んでしまったりすれば、別の細菌になります。この原因菌の培養に高い「嫌気度」が必要だったためにかつては、動物を使用しないと原因菌をつきとめることが難しかったりしたのです。なぜ、そのような事が必要かといえば、法定伝染病であって、周囲のまだ感染していない動物達に緊急にワクチンや血清を用意する必要があるからです。ワクチンや血清となると原因菌が違っていれば、まったく役目を果たしてくれませんから、早急に正しい検査結果が求められたからです。 もっとも、今では、この細菌も分離培養はさほど困難ではなく、種類の同定も機械や簡易検査キットでも可能なようになっています。モルモットやマウスが使用されるということもありません。 代替方法というものが、それまでの試験と同じだけの信頼性があるかということを確認するためには、そのために新たな実験が必要となりますから、信頼できる代替方法を開発するためには、さらに多くの実験動物が使用されることになりかねません。 それでも、それでもですが、少しずつは前に進んでいくのですよ。半年も1年も先になる、あるいはもっと何年も先になるであろうという結果を、今日明日に求められても当事者の方達も困惑せざるを得ないのですが、1日1日を繋いでいくとかならず、そのような日というのも訪れるはずだと思います。 いっそくとびの結果というものは、何事にもありません。少しずつ確実にです。
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