動物の愛護掲示板過去発言No.6000-200812-18
私から見て虐待行為というのであれば、 |
投稿日 2008年4月6日(日)11時57分 投稿者 プロキオン
虐待行為をしている飼い主というのは、動物病院には縁がないはずなのですが、何かの行きがかりで動物が来院してしまうことはありますよ。 1、犬の狼爪が両方の前足とも針金で根元から縛られていた例。これは飼い主が狼爪を不要のものとして腐って落ちるようにと針金でギチギチに締め上げたものですね。何も知らない子供が指が腫れているといって連れてきました。 2、チワワが陰嚢を輪ゴムで締められていて、化膿して腐り始めていた例。連れて来た女性は自分が留守の間に子供がやったと述べていましたが、これは手術で切除するしかないと説明したところ、義父母に叱られるからという理由で連れ帰ってしまいました。 かなり時間が経過しているのはあきらかでしたし、意図的にやられたことであって、子供がやったものとは考えられませんでした。 3、両方の後ろ足が同じ位置で骨折していた猫。猫が気を許す距離から水平に後ろ足を棒のような物でなぎ払われての骨折だと思います。この猫の飼い主の家にはいつも子猫しかいません。大人になった猫を診たことがありません。 4、両方の前足が骨折していた猫。これは、祖母に言いつけられたということでお孫さんが連れてきました。骨折していることを確認しれくれればよいということで、手術も治療もいらないという最初からの言い分でしたよ。 5、両方の前足が骨折していて、捨てられていた犬。これは歩き方のおかしい犬がいることに車中から気がついた方がいらして、帰宅してからもその犬のことが気にかかって3日がかりで、その犬を探し回って保護されたという例です。すでに骨折した骨がずれたまま癒合していました。そのために前足の長さが不自然に短くなってしまって、普通の歩き方ができなくなってしまっていたとういことになります。 6、後ろ足が立たなくって流れ歩くようなひどい血便をするようになって川に投げ込まれた犬。この犬は、川の中の葦にひっかかって鳴いていたところを近所に住む方に救い上げられました。この犬のその後については、別に物語ができるような話もあります。 近年、子供たちに獣医師の人気は高く、「どうしたら獣医師になることができるのか?」という質問が多いです。でも、臨床に携わるようになると、どうしても見たくない場面に遭遇するようになります。治った良くなったというような事例はあまり記憶にとどまることはありません。心を痛めるような事例だけがいつまでも記憶に残ります。 5と6は、飼い主に捨てられたことによって新たな展望が開けた例ですが、飼育されていた動物が死んで、「やっと、あの飼い主から開放されたね。」と仲間内で話しになるケースもありますよ。 クールにビジネスだからと割り切っていかなくてはならない事なのですが、それが簡単に割り切ることができるような人間であれば、この道にも進んでいなかったように思います。飼い主がいて、ペットと呼ばれる種類の動物が存在します。飼い主の所有物であるかぎりは、その意向を無視することはできません。前にも言いましたが、動物を守ることができるのは飼い主だけです。すべての原点は飼い主にこそあります、飼い主こそが基本なのです。
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