動物看護師掲示板過去発言No.7000-200005-56
安楽死の問題 |
投稿日 2000年5月23日(火)17時27分 林 文明
開業獣医師の林です。 安楽死の問題が出たので、少し意見を述べさせてもらいます。 すでにテクニシャンの方々はおわかりのことだと思いますので、特に新人テクニシャンや 飼い主さん、動物好きの方へ。 実は当院(私)では5ー6年前まで全ての安楽死を行っていませんでした。 一度飼育した動物は家族であり、人間のエゴだけでその命を絶ちきるわけにはいかないと考えていました。 病気の末期で飼い主さんの要請があっても当院は治療のみで、本当に安楽死を希望するなら 退院してもらっていました。 しかし、近年この考え方を変えました。 もちろん、飼い主さんのわがままだけでは安楽死はしません。 近年腫瘍疾患をともなう老齢疾患が増えました。 そしてかなりの苦しみ、痛みを伴う病態末期で来院される方も増えています。 そんな状態を放ってはいけないと思いました。 もちろん、飼い主さんとは充分に話し合いをし、飼い主さんの家族でも よく話し合いをしてもらいます。 その結果が安楽死ならば、治療の1つのオプションとして選ばれるのなら、 それは飼い主さんのためでもあると考えたからです。 臨終の場では飼い主さんも一緒に立ち会いの元、注射を行います。 それは、悲しいシーンです。 しかし、それも仕事であり、飼い主あっての動物です。 みんな(スタッフも飼い主さんも)、つらい思いで仕事をするときがあります。みんなその場面に遭遇し、いろんな事を考えます。 この仕事、"ただ動物がかわいいだけ"では続けられないことを承知してください。 医者には許されない、唯一の選択肢である安楽死は獣医師だけに認められているものです。 常に慎重にやらなければならない治療、最終手段が安楽死と私は考えます。 |
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