動物看護師掲示板過去発言No.7000-200712-22
Re:動物看護師について |
投稿日 2007年8月31日(金)19時32分 投稿者 プロキオン
看護師さんではないのですが、私が答えることができる項目について。 >次に、動物医療の現状について。 ・現在の動物医療の問題点は何でしょうか? 随分と大きな問題をストレートに質問されますね。おそらく、みながみなそのとおりだとうなづくことができる回答というのは存在しないかもしれません。 私の意見としては、動物の飼育者と現状の動物医療との認識の落差がありすぎることではないかと考えています。 どういうことかと言いますと、猛禽類というか、鷹やフクロウを飼育している方からみれば、マウスや鶉は餌にしか過ぎません。場合によっては、同じ鳥類であっても小鳥すら餌となるでしょう。でも、小鳥の飼育者にしてみれば、とんでもない話です。その小鳥の飼育者から見ると、ミルワームのような虫はやはり餌です。ミルワームは昆虫の幼虫です。鈴虫やコオロギを飼育している方もまた存在しているわけです。 それぞれの飼育者は、自分の飼育している動物を中心に考えているわけです。動物愛護活動にかかわっている方達にしてみると、ブリーダーの崩壊騒ぎのような際には「1頭も殺させない、全頭を助けるのだ」とよく言います。 しかし、犬も猫も元々は肉食動物です。現状ではフードメーカーのおかげで直接獲物となる生き物を与える必要はありません。ですが、生命の数という点から考えると、捕食者が1頭亡くなっただけでも、被捕食者側は、それこそ多くの命が救われることになります。 命は再生できません。当然、尊いものなのですが、その尊さには差があります。全てが等しい重さではありません。にもかかわらず、飼育している動物がやはり一番大切なのですよ、それもまた当然といえば当然なことなのですが…。 そして、同じ犬同士、猫同士でも、時と場合によって優先順位をつけなくてはならない場合があります。飼い主さんは自分の飼育している動物を中心にしか考えることができません。それぞれの動物によって視点を変えた対応が必要ですし、また、時としては、その飼い主さんから距離を置いた対応もとらないとなりません。 人間であれば、大学病院でしか実施しないような手術でも、街の動物病院で要求されることは珍しくありませんし、外科・内科・産科等の区別はないです。 >これからの動物医療に求められる事は何でしょうか? 獣医師の仕事というのであれば、家畜や伴侶動物を介して、社会に貢献することです。これは昔も今も変わってはいません。これからも変わらないでしょう。 伴侶動物、いわゆるペットの診療というのも、その中のごく狭い1つの分野にすぎません。こちらは、時代の要請によってさまざまに変化していくかもしれません。平和なときであれば爛熟といわれるまでに発展するでしょうが、もし、仮に戦争というようなことでもあれば、まっさきに世間から非難されることとなるでしょうね。 第二次世界大戦の際には、獣医師は主として軍馬に携わりました。しかし、供出された軍馬や軍用犬は、その殆どが帰ってきていません。 動物医療がどのように変わるか、何を求められるかには私はあまり興味はありません。どのように変化しようと、自分は動物にかかわっているつもりです。「今」何ができるかということの方が大切なように思っていますので。 求められても、「できることはできる」「できないことはできない」からですね。自分自身の力量を知っておかないとなりません。自惚れや過信で患者を危険な目にはあわせたくないですしね。
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