プロキオン先生が言われているように、私も、答えはひとつではないと思います。

私は、１０年間AHT（動物看護師）として仕事をしました。
院長夫婦と私とで数年、それから他のスタッフも加わりましたが、計５人が最高の
小規模病院でした。これは私が勝手に感じたことですが、院長は、獣医師という、
国家資格を持つ人と、そうではない人（私を含みます）をまず分け、後者を「素人」
として一緒に仕事をしてきました。実際に私は、「素人」「あんた」などと呼ばれた
こともあります。看護師は、獣医師の言うことだけすればいいと思われていたよう
です。

そういうこともあり、私はあまり意見を出すことはありませんでしたが、病院にいて、
一番飼い主さんに近い存在になろうと心に誓い、日々努力しました。私自身、物心
ついた頃から犬と暮らしていますし、猫も居ます。その経験と、専門的に学んできた
ことをうまく結び付けることで、飼い主さんに理解してもらえるように努めました。
「先生に言ったら叱られそうなんだけど・・・」「実は前もらった薬、不安で飲ませて
いない」そんな声を聞いた時には、出来る限りお話させてもらいました。納得して
安心した表情で帰られる姿を見送ることが出来た時には、うれしかったですね。

この仕事をして、うれしかった事はたくさんありますが、当然ながら、病気が治癒して
喜ばれたこと。そして飼い主さんから信頼されていることが感じられた時。何代も
続けて来院していただけるのは、信頼されていなければ、ないことだと勝手に思って
います。
悲しかった事、それは長くお付き合いのあった動物達が亡くなった時。例え初診で
亡くなってしまっても命の重さは変わりませんが、思い出のある犬猫さん達の死は
特に辛いものでした。そして、他院から移って来られた方が待合室で、
「A病院に行ってたけど、費用がいくらで、結局殺された」
なんて風に話をされていたのを聞いてしまった事も、悲しかったです。少なくとも
どの病院でも、殺そうと思って治療はしないと思うので。

これは、私の経験と、そこから感じた事です。
まだまだ動物看護師は求められると思いますし、国家資格を得られるようになると、
もっといいかもしれませんね。
ひとつ言えるのは、頭だけでは仕事にならないということ。
心と体で触れる・感じる・そして考えること。教科書だけが全てではありません。