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失われた週末      


1945年 アメリカ (THE LOST WEEKEND)
   

<監督>ビリー・ワイルダー
<キャスト>レイ・ミランド , ジェーン・ワイマン

<ストーリー>
売れない作家のドン・バーナム(レイ・ミランド)は、重度のアルコール依存症で、心配した兄(フィリップ・テリー)と田舎で静養するはずだったが、酒を断つ事が出来ず、嘘に嘘を重ねて、また、一人酒場に出向き、酒浸りになってしまう・・・。

<感想>
1945年製作の古い映画を見てみました。
監督は、アカデミー賞を7回も受賞した巨匠ビリー・ワイルダー。
この作品は、今まで私が見た彼の監督作「七年目の浮気」「お熱いのがお好き」などのコメディー作品とは違い、シリアスなアルコール依存症の男の物語です。

冒頭から、彼の罹っている病の深刻さが伺われます。
彼のことを心配する兄や、恋人を、言葉巧みにだましてまで、アルコールと縁が切れない彼の姿は、もはや滑稽を通り越して、恐ろしいばかりです。
こうして人は、廃人に突き進んでゆくんでしょう。

以前、やはりアルコール依存症の映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」を見た時に、依存症が高じると、脳が萎縮することを知ったので、この映画の主人公も、早くまわりの忠告を聞いて断酒できたらいいのに。と思いながら見ていました。
でも、そんなに甘いものではありません。
人をだまし、酒瓶を隠し、金を盗み、大切なものを売ってまでして、一瓶の酒が欲しくなる・・・悲しい病気です。
しかも、お酒なんてお金さえあれば、どこにでも売っているのだから、始末に悪いです。
でも、この映画を見たら、依存症の真の怖さを知って、断酒の決意に繋がるかもしれません。

古い映画ですが、コンパクトにまとまった、中身の濃い映画だったので、全く飽きることなく、集中して見ることが出来ました。

この作品は、アカデミー賞の作品賞、主演男優賞、監督賞、脚色賞を獲得しました。(2015,11,15)



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