シネマチェックトップページ50音別indexサ行index


上海の伯爵夫人      


2005年 イギリス・アメリカ・ドイツ・中国 歴史・ロマンス・戦争

<監督>ジェームズ・アイヴォリー
<キャスト>レイフ・ファインズ , ナターシャ・リチャードソン , ヴァネッサ・レッドグレーヴ , 真田広之 , リン・レッドグレーヴ , リー・ペイス

<ストーリー>
列強各国の思惑が入り乱れる1936年の上海。事故によって家族と、視力を失った元外交官のジャクソン(レイフ・ファインズ)は、バーの片隅で、ロシアから亡命してきた未亡人、ソフィア(ナターシャ・リチャードソン)と、出逢う。彼女との出会いによって、ジャクソンは、ソフィアを中心とする自分の理想の店、”白い伯爵夫人”を始めるが・・・。

<感想>
「日の名残り」の原作者、カズオ・イシグロのオリジナル脚本をジェームズ・アイヴォリーが映画化した作品で、日中戦争の始まる直前の上海租界の物語です。

その頃の租界には、各国の人々が行き交い、それぞれの思惑・欲望が入り乱れ、独特の雰囲気が漂っていたようです。
歴史的背景には相変わらず疎いのですが、当時の、危うく、妖しい雰囲気が、良く伝わってきました。

主人公は、盲目の遊び人?ジャクソン。
彼の背景や、上海での立ち位置が、なかなか見えてこなかったのですが、それは、追々分かって来ます。
事故で、視力を失い、おそらく仕事も失った彼は、それでもまだ、各界の人とのつながりを保っていた、ということでしょうか。

そんな彼と共に登場するのが、没落したロシア貴族の未亡人、ソフィア。
彼女の生活が、痛々しくてねぇーーー。時代の流れとはいえ、かつては、広々した邸宅で、贅沢三昧な生活をしていたであろう若奥様が、悲惨な生活を余儀なくされている姿は、本当に、痛々しくて悲しいです。
でも、彼女の姿を見ていると、どんな境遇になっても、人間は、強くたくましく生きてゆけるもんなんだなぁという、驚きも感じられます。
やはり、子供が、彼女の心の支えだったんでしょうね〜。

ジャクソンは、謎めいた人物でしたが、盲目であることで、時代の流れを誰よりも敏感に感じ取っていたのかもしれません。
上海から誰もが逃げだそうとしていたその時にも、自分の酒場で客を待つ姿が、とても印象的でした。

そんなジャクソンを演じたレイフ・ファインズは、相変わらず、苦手で、好きになれないのですが、でも、やっぱりうまい!
盲目なのに、ダンディーで、心の中に悲しみを湛えつつも、自分の夢を持ち、着実に実現させてしまう、そんな、しなやかさを持つ男を、好演しています。

そして、ヒロインのナターシャ・リチャードソンも、強く、けなげで、しかも美しかったです。。
彼女は、今年、スキー事故で亡くなってしまいました。本当に残念です(TT)。(2009,10,11)



シネマチェックトップへ