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「パズル・パレス」
上・下
ダン・ブラウン
全通信を傍受・解読できるNSAのスーパーコンピュータ<トランスレータ>が狙われる。対テロ対策として開発されたが、一般市民の通信全てをも監視可能なこのコンピュータの存在は決して公に出来ない国家機密であった。だが、この状況に憤った元スタッフが、自ら開発した「デジタル・フォートレス」という解読不可能な暗号ソフトを楯に、<トランスレータ>の公表を迫ったのだ。このソフトが流布されれば、アメリカは完全に無防備になってしまう・・・・。(上巻表紙折り返しより)
「ダ・ヴィンチ・コード」
のダン・ブラウンが1998年に著した、彼の処女作です。
アメリカが極秘にしているスーパー・コンピュータ<トランスレータ>の公表を迫る、かつてのスタッフと、NSA(国家安全保障局)との壮絶な知恵比べです。
まず最初から、奇妙な名前の人物が出てきて、驚きますが、これが、日本人をモデルにしていると分かって、更に驚きました(^^;。その名前は、エンセイ・タンカド。いったいどんな漢字を当てはめるのか?!(^^;。それが気になって気になって、その名前が出てくるたびに、そこに引っかかってしまいました。他にも、トクゲン・ヌマタカですよ。ここは、もうちょっと気を遣って欲しかったですねぇ、ダン・ブラウンさん(^^)。
「ダ・ヴィンチ・コード」が大当たりしたので、年代をさかのぼるようにして出版された彼の著作なので、この本は、8年前に書かれたもののようです。日進月歩のコンピュータの世界ですが、これは、今読んでも、全く違和感がありません。というか、専門的すぎて、コンピュータに関心のない人には、チンプンカンプンかもしれないですねぇ。
でも、この文章をネットで読んでいる人なら、きっと、それなりに面白く読めると思います。
先日、イギリスでの飛行機爆破テロが未然に防がれました。それによって、大勢の命と、財産が守られたのは、本当に、良かったと思います。国家のテロ対策は、このように、緊急且つ、重大な問題です。怪しげな通信は、国としては全部つかんでおきたい。と思うのは、当然のことでしょう。ですが、一方で、それが、一般の人のプライバシーが守られないということにも繋がるのは、困ったことです。
この矛盾点を題材にした、ブラウン氏の目の付け所は、すばらしいですね〜。
ストーリーも、アメリカのNSA内での話と、スペインでの話とが、交互に進み、飽きさせません。さすがに上手いですね〜。
ただ、ラストまで読んで疑問が残ってしまいました。それならば、あれの意味は、何だったのか?!
ダイナミックな点でも、知的好奇心の点でも、他の三作品よりも、ちょっと落ちるかな〜〜というのが、私の感想でした。(2006.08.14)