「マンスフィールド・パーク」
ジェイン・オースティン 大島一彦=訳
貧しさゆえに蔑まれながら生きていきた少女が、幸せな結婚をつかむまでの物語。優しさと機知に富む一方で、鋭い人間観察眼によって容赦なく俗物を描く、英国が誇る十九世紀初頭の女性作家、後期を代表する作品。
(裏表紙より)
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「分別と多感」、「高慢と偏見」に続いて、ジェイン・オースティン、三冊目です。
今回は、前二作の訳者・中野康司ではなく、大島一彦さんの訳でした。
そのせいか、最初は、ちょっと読みづらかったです。
また、内容も、前半は、あまり面白く感じることが出来ず、
読むのが苦痛で、果たして、最後まで読み通すことが出来るのか、心配になったほど・・・(^^;。
特に、演劇の練習シーンは、わたし自身、あまり興味もなかったので、何で、こんなに長々と書かれているのかと思ったし、
何より、主人公のファニーが、まだまだ魅力的ではなくて、感情移入しにくかったです。
ジェイン・オースティンの本を読む理由の一つとして、この頃のイギリスの上流階級の暮らしを疑似体験することなので、初期のファニーでは、役不足と感じたのでした。
でも、中盤になって、サー・トーマスが家に戻ってくると、俄然面白くなりました。
そうなってみると、あの長々とした演劇の練習シーンの意味も分かってきますし、
ファニーの魅力も、どんどん発揮され、
彼女の秘められた苦しい胸の内に、どきどきしたり、はらはらしたり・・・。
後半は、ヘンリー・クロフォードとのことで、いったいどうなってゆくのだろうと、これまた、やきもきしたり(^^)。
それにしても、それまでおとなしくて、自分の意見などあまり表に出さなかったファニーが、
ヘンリーについては、はっきりとした考えを表明し、
かたくなな態度に出るのには、驚きました。
ファニーの、人物に対する観察眼は、おそらく、そのまま、ジェイン・オースティンのものなのでしょうね。
彼女が、どうゆう人たちが嫌いで、軽蔑しているのかが分かって、面白いです。
文庫で、700ページ弱の大長編ですが、
すべて読み終わってから、再び、最初の方を読み直してみると、さらにおもしろさが増しました。
(2010,06,24)
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