カーテン
アガサ・クリスティ
ヘイスティングズは親友ポアロの招待で懐かしきスタイルズ荘を訪れた。 老いて病床にある名探偵は、過去に起きた何のつながりもなさそうな五件の殺人事件を示す。 その陰に真犯人Xが存在する。 しかもそのXはここ、スタイルズ荘にいるというのだ・・・ 全盛期に執筆され長らく封印されてきた衝撃の問題作。 新訳決定版(裏表紙より)
とうとうこの本まで来てしまいました。
ポアロ最後の事件で、著者のアガサ・クリスティが1943年に執筆し、クリスティの死の前年、32年物年を経て公開された作品です。
1943年というと、クリスティの永年の執筆時期でも脂の乗りきった頃。
年代順に彼女の作品を読んでいくと、やはり初期の作品、中期の作品、晩年の作品と、少しずつ作風が変わっていくのが見て取れたので、実質最後のポアロ作品である「象は忘れない」を読んでから読むと、全盛期のワクワク感が戻ってきました。
ただ、ポアロの予想以上に年老いた姿が描かれているところは、ヘイスティングズ同様、読む方にしても辛かったです。
あれだけスタイルに拘っていた彼が、こんな姿になっているとは・・・。
久しぶりに登場したヘイスティングズが、悲しさと寂しさを感じた気持ちがよく分かりました。
ともあれ、ポアロ最後の事件は、さすがポアロ。鋭い観察と考察が最後の最後に光り輝き、
また、それにもまして、ポアロの正義に対する真摯な姿が見て取れました。
彼の行動は、今までの彼とは、一線を画していて、驚きましたが、
相変わらず凡人たるヘイスティングズと共にポアロの偉大さを大いに感じたのでした。
(2023,04,25)
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