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復讐の女神
アガサ・クリスティ




マープルは、かつて共に事件を解決した富豪の死を知る。
その一週間後、「ある犯罪調査をしてほしい」と富豪が記した手紙が届く。
だが、具体的な犯罪の内容については何も書かれていなかった。
マープルは手紙の指示通り旅に出るが、
そこには様々な思惑を持つ人々が待ちかまえていた。
『カリブ海の秘密』の続編。解説:南波雅 (裏表紙より)


ミス・マーブルが、ちょっと変わった相棒と共に事件を解決した「カリブ海の秘密」
本書は、その続編です。
ただ、その時の”ちょっと変わった”相棒であるラフィール氏の死亡記事をミス・マープルが見つけるところからこの本は始まるので、ラフィール氏は登場しません。毒舌家の彼が登場しないことは、ちょっと残念でしたが、でも、そこかしこに彼の存在を感じることの出来る作品でした。

何のヒントもなく、事件解決に乗り出したミス・マーブルですが、最初私は、ラフィール氏がミス・マーブルに贅沢な時間を贈っただけの話なのかなと、のんびりと考えていました。
でも、やっぱり、クリスティがそんな悠長な本を書くわけもなく・・・。

本書は、まさにミス・マーブルの独壇場でした。
彼女の考え、行動、そして、ラストにいたるまで、彼女自身が濃厚に描かれていて、ミス・マーブルの面目躍如といったところです。

この作品も、様々な人物が登場して、一見ややこしい風ですが、ストーリーとしては、犯人に一直線に繋がってゆくような話で、意外性はなかったです。でも、読み応えありました。 本来ならば、シリーズとしてもう1作出来るはずだったらしいですが、クリスティの死で、残念ながらそれはなくなり、次作は、とうとうミス・マープルの最後の作品「スリーピング・マーダー」となりました。
残念ですが、「スリーピング・マーダー」も、読むのが楽しみです。 (2023,11,28)