人畜共通伝染病とオウム病について
平井克哉(獣医学博士・岐阜大学名誉教授)
Zoonotic Diseases and Pet Birds(表1) |
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Bacteria1 Diseases Potential Zoonoses Chlamydiosis Escherichia Salmonellosis Yersinia Campylobacteriosis Brucella Tuberculosis Shigella Viral Diseases Vibrio Newcastle disease Pasteurella Arthropod-borne vira1 diseases Staphylococcus Western equine encephalomyelitis Erysipelothrix Eastern equine encephalomyelitis Listeria St Louis encephalomyelitis Coxiella burnetii Japanese encephalltis Parasitic Diseases Murray valley encephalitis Giardiasis Sindbis Toxoplasmosis West Nile virus infection Cryptosporidiosis Fungal Diseases Aspergillosis Histoplasmosis Cryptococcosis Candidosis |
人のオウム病は今世紀初頭の昔から,主にオウム・インコ類によって感染すること
が知られ,1930年代欧米に大きな流行が記録されている。当時の死亡率は高かったが
最近の有効な抗生剤によって死亡率は著しく低下した。しかし今も肺炎,気管支炎
などの呼吸器症状を呈した時に致死的経過をとることがある。
また,従来の呼吸器の病型以外に,最近頸部リンパ節炎を主徴とする病型も知られて
きた。最近,ワシントン大学の王教授は人から人に伝播する新しい型のオウム病の
流行例から病原体(TWAR株)を分離し,人型の存在を示唆している。一方,家畜や愛玩
・野生動物に各種のクラミジア感染症があり,これら動物から人の感染例や疫学的
調査成績が報告され,鳥類の他に動物をも加えた人畜共通伝染病の1つとして諸外国
では認識されようとしている(図1)。
このような観点から,オウム病は“古くて新しい疾病"といえよう。今回はオウム病
の診断を中心に記載する。
このページは平井克哉先生より許可を得て、川村幸治が作成しております。