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人畜共通伝染病とオウム病について

平井克哉(獣医学博士・岐阜名誉大学教授)


 5.予防対策
  愛好家が飼育する鳥類ではオウム・インコ類が最も多く,次いで文鳥,十姉妹,カナ
  リヤなどのフィンチ類である。人のオウム病の感染源は第1にオウム・インコ類で
  あることは諸外国の疫学的調査からよく知られている。今回の調査では,小鳥店お
  よび家庭で飼育中のセキセイインコにあっても,臓器からの病原体分離率は26.4%で
  あった。したがって,膨大な羽数が保菌鳥のまま小鳥店や家庭で飼育されているこ
  とは容易に想像される。発病期のオウム・インコ類は糞1gあたり104〜108もの
  病原体を排出する。回復した鳥や不顕性感染している鳥(外観は健康)も長期問
  にわたり排泄物中に病原体を排出し続け,糞便1gあたり103〜106,鼻の分泌液も同じく
  102〜105の病原体が存在する。
  オウム病の治療には,テトラサイクリン系薬剤が著効を示す。オウム・インコ類の
  大きさに応じ,次のような方法で薬剤の投与を行う。
  (1)小型鳥は,クロールテトラサイクリン(CTC)を飼料に0.05%添加し,30日間投与す
  る。飲水に添加する場合は,1L当り500〜700mgの割合でCTCを加え,毎日取り替える。
  (2)大型鳥は,CTCを飼料に0.5%添加し,45日間投与する。大型鳥は,あまり水を飲ま
  ないことから,飼料1kg当り5gの割合でCTCを毎日混合する。
  (3)食欲のない鳥に対して,筋肉内注射(一日当り小型鳥で5〜10mg,大型鳥で40〜50mg)
  を行い,食欲が出た後食餌療法に変える。

このページは平井克哉先生より許可を得て、川村幸治が作成しております。