全国飼 育動物研究会  第1回研究発表大会

 

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期 日平 成17年1月30日(日)
時 間10時45分〜午後4時半
開 場:10時15分
場 所:お茶の水女子大学 共通講義棟2号 館201号室地図

                                東京都文京区大塚2−1−1(地下鉄 丸の内線 茗荷谷下車5分) 
    共  催お茶の水女子大学子ども発達教育 研究センター
          後 援 文部科学省申請中 東京都教育委員会  心の東京革命推進協議会(青少年育成協会)

   一般発表:10時45分〜12時    講演要旨、 一般発 表要旨
         @小檜山祐介「ハムスターを 用いた小学校訪問 活動のプログラム開発とその実践」帝京科学大学
      A久富一郎「県職員自主研究グループ活動による取り組み」宮崎県食品検査所
           B和田茂雄「鳥インフルエンザ発生における京都市学校飼育動物への対応について」
                                         京都市獣医師会学校飼育動物対策委員会委員長
           C加藤智子・岡田麻美子「幼稚園の園庭飼育から身近な飼育へ」横浜市三ツ沢幼稚園教諭
           D石島敦子「命の大切さ〜その思いを共有できる学校飼育活動〜」佐野市立船津川小学校教諭


  シンポジウム:13時〜 
   基調講演中川美穂子「園・小学校での頭脳を育てる環境づくり」

                          お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター客員研究員
                全国学校飼育動物獣医師連絡協議会主宰
  

     休  憩:14時〜14時15分   

  講   演14 時15分〜15時5分
           
佐  藤 暁子「小動物の飼育を通して豊かな心を育む」

                   新宿区立西戸山幼稚園 園長
         竜田 孝則「休日の飼育:保護者の飼育応援団の構築と成果について」
              鎌倉市立大船小学校校長
   
  
  総合討論:15時5分から16時

   講  評16時〜16時半
        小田 豊  国立教育政策研究所所長
       無藤 隆  白梅学園短期大学学長/お茶の水女子大学客員教授


参加費(資料代)500 円     書籍販売:第一号 会誌・参考書

---参加希望の方は下記にメール FAX あるいは葉書で
     所属、氏名、連絡先を明記の上、事前にお申し込み下さい---
 

お問い合わせ・参加事前登 録先     

           〒153−8681 目黒区下目黒6−5−22国立教育政策研究所
                      鳩貝研究室内 鳩貝 FAX 03−3714−7073
           〒202−0023 西東京市新町5−16−29 FAX0422−56−9086 
               全国学校飼育動物獣医師連絡協議会内 中川 m-nakagawa@vet.ne.jp 
         http://www.vets.ne.jp/~school/pets/siikukenkyukai.html
                
講師プロフィール     

*中川美穂子全国学校飼育動物獣医師連絡協議会主宰、中川動物病院院長、母親として学校の飼育に関わり
30年近くなる。子どもへの良い刺激となれる飼育を、具体例をあげて教育界と獣医師界に示している。

*佐藤暁子:新宿区立西戸山幼稚園園長、昭和43年より幼稚園教員として勤務。保護者と教師が、子どもの豊
かな成長発達を願って「教育、共育、響育」していくことの大切さを実感し、幼稚園教育の充実・発展を目
指して奮闘中!!自然体験、飼育体験が、子どもの感性や心を育てていく事を保育現場で子どもから学んでいる。

*竜田孝則:鎌倉市立大船小学校長 1969年より小学校教員として勤務。前任校で迷い犬の飼育にかかわっ
てから学校飼育動物と子ども たちとの絆の深さや課題に気づき、現任校では休日や長期休業中の飼育に保護者
との協力関係を築き上げて取り組んだ。今後の課題は高齢化する飼育動物の介護か。

講演要旨

   * 「園・小学校での 頭脳を育てる環境づくり」中川美穂子
平成3年の生活科導入にしたがって、動物飼育が推奨され、平成15年12月の調査では、全国の小学校の9割の校庭に飼育舎が設置され動物飼 育が行われている。が、その運用面、教育への活方について、教員に知識をあたえる場があまりにも少なかったため、様々な反発を招いている。今回、子どもの 成長に有効な刺激になる環境を作るため、課題を改善して飼育を教育に活用する方法を、具体的な事例から紹介したい。これにより教員への負担を減じ、かつ教 育的な効果を増すことができると期待している。

   「小動物の飼育を通して、豊かな心をはぐくむ」 佐藤暁子
 
新宿の街中にある本園では、子どもたちが家で飼うことの出来ない小動物をたくさん飼っている。ウサギ、モ ルモット、ハム スター、小鳥、カメ、金魚、夕方になると白鷺が池に遊びにやってくる。毎年春になるとたくさん の蛙のペアが、冬眠から覚めて池に帰ってきてはたくさんの卵を産み4月に新しい子どもたちが幼稚園に入るころには、 おたまじゃくしでいっぱいになる。このライフサイクルの中で、子どもたちは存分に小動物と触れ合いながら、様々な自然 の摂理を学んだり、気付いたり、生命の誕生に触れて喜んだり、命の終わりに驚いたり悲しんだりする。子どもたちは教 科書を見て学ぶのではなく、実に様々な自然界の事実に学んでいるのである。毎朝、レタスやりんごの皮を袋に入 れてもってくる子、ウサギにえさをあげながらそっと心を癒している子など、まさに自分たちの仲間として付き合っているのである。その中で豊かな心が育って いく姿を紹介する。
  
「休日の飼育:保護者の飼育応援団の構築と成果について」竜田孝則
 休日の飼育が課題としてとりあげられるようになったのは、学校週5日制が完全実施されてからでした。土日が休みになったことによって、これまでの飼育や 児童の安全の問題が顕在化しました。この問題は保護者との協働によって解決するものと考えられましたが、保護者との協働を実現するためには、自分たちの仕 事に口を出されたくないという子どもたちや教職員の気持ちの変化を待つ必要がありました。気持ちの変化を促したのは言葉ではなく、事実でした。一つひとつ の小さな事実の積み重ねが気持ちの変化を促し、「飼育応援団」の誕生につながっていきました。 飼育応援団は「学校支援ボランティア」の誕生を促し、読み 聞かせ、掃除、教育支援など活動はさらに広がりをみせています。

一 般発表 午前10時45分から午前12時

@小檜山祐介・花園誠「ハムスターを用いた小学校訪問活動のプログラム開発とその実践」帝京科学大学        
  我々は「人と動物との共生」を理念とし、教育・研究をしている。一昨年度より、その一環として動物介在教育に着目、 地域の小学校と連携してそのプログラム開発に着手した。本研究では、小学校の第2学年の児童を対象にハムスター等の小動物を用いた全3回の小学校訪問活動 のプログラムを開発し実践、その有用性について検討を加えた。
A久富一郎「県職員自主研究グループ活動による取り組み」宮崎県食品検査所       
 当グループは、平成12年に結成。多くのグループが単年度で終了することが多い中、こどもに対する行政サービスからは じまり、DVと動物虐待に対する取り組みへと絞込みがなされ、その共通項目とされる「暴力連鎖」を防止するため、幼年期での予防策として、現在学校飼育動 物の環境改善の取り組みを行っている。昨年度から、モデル校に、動物愛護委員会のサポートを開始し、今年度にはPTA合同の教育講演に講師を招くなどして いる。今後も、多くの関係者を巻き込みながら、地域に根ざした学校飼育動物のあり方を模索し、県の施策に繋げたいと思う。
B和田茂雄「鳥インフルエンザ発生における京都市学校飼育動物への対応について」京都市獣医師会       
 平成15年春、わが国に78年ぶりに高病原性鳥インフルエンザが発生したが、京都府でも養鶏場で発生した。その感染に 際し、京都市獣医師会と教育委員会は協力して市内幼稚園小学校等の『学校飼育動物対策』を行った。その成果と課題について報告したい。なお平成11年度か ら獣医師会は教育委員会と「生きもの大好き」サポート事業を行い、授業支援や飼育への助言を行っている。平成14年度の教育功労者として報償を受けてい る。
C加藤智子・岡田麻美子「幼稚園の園庭飼育から身近な飼育へ」(横浜市三ツ沢幼稚園教諭)       
   当園では、子ども達に自然体験、動物体験を用意して子ども達に様々な影響をあたえるようにしているが、この6月に、今まで園庭で飼育していたウサギ達を年 長のクラスの身近で飼う試みをしてみた。最初に地元の獣医師たちによる導入授業を受けたが、一ヶ月後、園庭のウサギを臭いと近づかなかった子ども達が、身 近なウサギを「臭いとかわいそう」と積極的に掃除をするなど、ウサギの気持ちを洞察する態度を見せ、現在も続いている。     
D石島敦子「命の大切さ〜その思いを共有できる学校飼育活動〜」(佐野市立船津川小学校教諭) 
  栃木県佐野市では、平成12年度から獣医師の先生方の協力を得て飼育活動を行っている。本校は小規模校と いうこともあり、飼育には全児童、全職員で取り組んでいる。今年で6年目。今までいろいろな出来事があった。うれしかったり、楽しかったり、悲しかった り・・・・ それら、一つ一つの出来事は子ども達の心に種をまいているように思う。命の大切さを感じる種である。そして、そこには獣医師の先生方の専門的 な知識や温かいまなざしがあった。喜びや、悲しみや、悩み事や、心配事等を共有することにより共に成長していくことができる学校飼育活動、その奥の深さを 日々感じている。トップへ