社)日 本獣医師会緊急提言
トリインフルエンザ 「人への危険性について」
学者による東アジアの状況分析


教育関係者の方に                         平成16年2月28日
                       

       トリインフルエンザ 「人への危険性について」
                    
                        全国学校飼育動物獣医師連絡協議会
                        主宰 中 川 美 穂 子

 トリインフルエンザはニワトリ、チャボ、七面鳥、うずら、ウコッケイ、アヒルなどに
とっては恐ろしい病気ですが、病気にかかったトリやその糞と長い時間 接触をしな
ければ人に感染することはありません。しかも感染したトリはすぐに死ぬので、すぐ
に分かります。ただし以下のような注意をしてください。 

(対応について)養鶏と人を守るため 獣医師と連携して
・ 鶏を飼育舎に隔離して野鳥の糞から遠ざける。
  飼育舎への出入りの時に靴裏の消毒、あるいは、新しい長靴を飼育舎の中に
置いて履き替え、外の靴のままで中に踏み込まない。(野鳥の糞を中に入れな い)
・ 飼育舎の掃除をよくする。
  作業後、うがい、手洗いを必ずする。
・ 鶏を良く見てあげて、うずくまったり、死んだりしたのがいるとき、さわらずに獣医
師や家畜保健衛生所に直ぐに届ける。 
               学校での予防法・対応法(靴裏消毒薬等について)
                
(野生の鴨と、アヒルへの注意)
 野生の鴨と学校のアヒルが同じ池で泳いだり、またそのアヒルが鶏と接触(お互
いの糞のあるところを歩く)する環境は、避ける。アヒルも野生の鴨などと接 触さ
せないよう、屋根付きの小屋に収容する。  

 ちなみに鴨が遊んだプールの水から人への感染はない。 

(人への危険性について)
 元々このウイルスは特別な場合を除いて人にはかからない。
隣の韓国で鶏を180万羽以上処分したが人の死亡例はない。

ベトナムやタイでの人への感染は
 多数の感染したニワトリと長い時間接触していたため。しかもニワトリ用のワクチ
ンの関係から、病気の症状が抑えられていたので、感染しているこ とに気がつか
ずに人が長時間接触をしたと考えられている。(ワクチン使用の欠点)

 幸い今の日本では、政策上、ワクチンを使っていないため、もし感染すると「連
続して突然死」をする。
 だから鶏をよく観察することで、人への危険を避けることができる。

先生方としては、この機会を、子どもたちに対する
 「大事な仲間を病気から守ってあげる」気持ちを養い。そのうえで困難にたいし
て「自分の身は自分で守るために、よく状況(今回はニワトリ)を観察して、 自分
で考える」

つまり
 「情愛や責任を大事にするように、また科学的な視点をもち、基本的衛生観念
を身につけるような」ご指導の 良いチャンスと考えていただけたら、 幸い です。

 (以上、専門家の方々にご指導いただき、まとめました。中川美穂子)

 学者による東アジアの状況分析

感染症情報セン ター「鳥インフルエンザについて、Q&A」

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緊急提言 (鶏を捨てないで)
 
                             平成16年2月19日

全国の小学校、幼稚園・保育園、教育委員会等の教育関係者の皆様
全国の小学生、幼稚園・保育園児等の保護者の皆様へ


           日本獣医師会学校飼育動物委員会  委員長 唐木英明
           社団法人 日本獣医師会 会長  五十嵐幸男

学校飼育動物の鳥インフルエンザ対策について

 平成16年1月に山口県の養鶏場で鳥インフルエンザが発生しました。海外ではこれ
が人に感染し、死亡者も出たことから、この問題はマスコミ報道でも大きく取り上げ
られましたので、ご心配の方が多いと思います。

さらに2月には大分県でペットとして飼育されていたチャボにも鳥インフルエンザが
見つかったことから、ニワトリ、チャボや小鳥などを飼育している学校、保育園・幼
稚園等の先生や保護者の方々から、日本獣医師会などに対して、子どもへの感染を心
配する声や相談が寄せられています。

しかし、国内で鳥インフルエンザが発生したからといって、学校や家庭で飼育してい
るニワトリや小鳥が危険だということではありません。人間も鳥もインフルエンザの
予防は同じです。清潔な状態で飼育し、インフルエンザを運んでくる可能性がある野
鳥が近くに来ないようにし、ウイルスがいるかもしれない鳥の排泄物に触れた後には
手洗いとうがいをすれば感染の危険はありません。詳しいことは、動物衛生研究所の
ホームページ
http://niah.naro.affrc.go.jp/disease/poultry/tori_influenza.html
をご覧ください。

鳥を飼育している皆様には、飼育中の鳥を野山に放したり、処分するような
ことはせずに、冷静に対処していただきますようお願いします。

 日本獣医師会は、子どもの豊かな心を育てるために動物とふれあう情操教育が大変
に大事だと考え、学校で飼育されている動物の診療をはじめ、動物の健康管理や飼育
のお手伝いを行っています。動物飼育は子供たちに計り知れない影響を与えますが、
それは子どもたちが動物に愛情を持って、守り、育むという役割を果たすことによっ
てもたらされるものです。動物の「お父さん」、「お母さん」であることを自覚した
子供たちにとって、その大事な動物が遠くに行ってしまったり、まして処分されたり
することがどのような大きな悲しみを与えるかを周囲の大人は真剣に考えていただき
たいと思います。

子供たちの「からだ」の健康を心配するあまり、「こころ」の健康を軽んじるべきで
はなく、教育関係者、保護者の皆様方には、ぜひとも「学校における動物飼育」の意
義を問い直していただきたいと思います。

指導にあたられる教員の方々は、子供たちには衛生的な飼育管理法や、手洗い・うが
いの励行を指導するとともに、ご自身で動物の様子を観察していただき、元気がなく
なるなどの異常を発見したときには、直ちに近くの獣医師に連絡して診察を受けてい
ただくようお願いします。不明な点がありましたら、地元獣医師会または最寄りの家
畜保健衛生所にご相談ください。

最後に、日本獣医師会は、様々な生物の命をみつめ、育む職業である獣医師の団体と
して、今後とも学校飼育動物に対する支援を継続することを申し添えます。

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