バベル           |  
  
2006年 アメリカ スリラー    
  
<監督>アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ  
<キャスト>ブラッド・ピット  ,   ケイト・ブランシェット  ,   ガエル・ガルシア・ベルナル  ,   役所広司  ,   菊地凛子  ,   マイケル・ペーニャ ,  エル・ファニング
  
<ストーリー> 
モロッコ。ジャッカルを撃つためのライフルで兄弟が狙ったのは観光バスだった。バスに乗っていたアメリカ人夫妻(ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット)の妻、スーザンは、どこからか飛んできた銃弾に被弾し負傷する。アメリカ。スーザン夫妻の二人の子供は、家で、メイドのアメリア(アドリアナ・バラーザ)と留守番をしていたが、アメリアの息子の結婚式に出席するため、メキシコに向かう。日本。聾唖者のチエコ(菊地凛子)は、満たされない思いで、常に苛ついていた・・・。
  
<感想> 
旧約聖書に記されたバベルの街の人々は、神に近づこうとしたため、神の怒りに触れた。そして、21世紀。再び、人間は、神の怒りに触れてしまうのだろうか・・・。
  
モロッコでは、子供の遊びが悲劇を招き、悲劇に巻き込まれたアメリカ人夫婦の子供は、不法就労のメキシコ人との逃走劇に巻き込まれ、自殺した日本女性の夫の銃は、モロッコへ。 
繋がりとしては、面白いけれど、衝撃を受けたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の他の作品、「21グラム」や「アモーレス・ペロス」ほどのインパクトは、感じられませんでした。 
ただ、アメリカのテロ過敏、人種差別、個人主義批判などは、強く感じ取れました。
  
重厚で見応えはあるのですが、あまりにも辛い話の連続で、見終わって、心塞がれる思いでした。それぞれに、ラストはほのかな救いもあるのですが、それも、消え入りそうなほのかさで、みんな辛い話です。唯一、再生の希望が見えるのが、日本のパートでしょうか。 
この作品で、アカデミー作品賞は、無理だったかなと思いましたが、といって、「ディパーデット」なら納得かというと、そうでもないのですが・・・(^^;。 
アカデミー助演女優賞ノミネートで話題の菊池凜子さんは、チエコの内側にある思いを繊細に表現していました。そして、思っていた以上に、体を張った演技でしたねぇ〜。ちょっとびっくり(^^;。 
 
残念だったのは、アカデミー賞授賞式あたりから、この映画の予告編を何回も見てしまって、ひとつのライフルによって、壊されてゆく人々・・・というあらすじが、本編を見なくても、分かってしまっていたことでしょうか。それを知らないで見たらもっと面白く見れたかも。
  
ちょっと疑問だったのは、チエコの母親が自殺に使った銃と、モロッコで使われた銃は、同じものなのかということです。話としては、同じ銃だと、よりストーリーが深まるのですが、それは、有り得ないのでしょうねぇ。 
それにしても、日本の街は、映画になると、私が思っている以上に、どうしてこうも猥雑に見えるのでしょう・・・(^^;。(2007,05,03)
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