忘れられた巨人
カズオ・イシグロ
老夫婦は謎の霧に覆われた世界を旅する。
息子との再会を信じて・・・。
世界的ベストセラーついに刊行。
(帯より)
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昨年、ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの一番新しい作品です。
今まで、彼の作品は「私を離さないで」を読み、彼の原作の映画「日の名残」を見ましたが、今回の作品は、それらとは全くジャンルの違う、コテコテのファンタジーでした。
息子に会いに行くために、老夫婦が旅をするのですが、その世界では、雌竜のために人々の記憶が失われてしまうので、騎士や戦士が、その雌竜と戦おうとする話です。
他にも鬼や、幽霊なども登場し、アーサー王の話も出てきます。
全体のイメージは、白い灰色。
人々は、新しいことも徐々に忘れてゆき、昔のことなど、すっかり忘れ果てています。
そんなに記憶がなくなっては困ったものなのですが、
でも、読んでいくうちに、記憶が薄れることのメリットにも気付かされるのでした。
ラストは、ここで終わりかぁと、一瞬ちょっと困ってしまったのですが、考えさせられるラストでありました。
記憶って、大切だけど、恐ろしい。
忘却があるからこそ、人は生きてゆけるのかもしれません。
(2018,06,08)
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