カポーティ |
2005年 アメリカ 伝記・犯罪
<監督>ベネット・ミラー
<キャスト>フィリップ・シーモア・ホフマン , キャサリン・キーナー , クリス・クーパー , ブルース・グリーンウッド
<ストーリー>
1959年11月15日、カンザス州の田舎町で、一家4人惨殺事件が発生した。その事件を知った作家、トルーマン・カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、作家で幼なじみのネル・ハーパー・リー(キャサリン・キーナー)と共に事件の取材を重ねる。そして、犯人が逮捕されると、さっそく彼らに面会するが、そのうちの一人、ペリー・スミス(クリフトン・コリンズ・Jr)に興味を引かれて、彼との面談を重点的にし始めるが・・・。
<感想>
この映画は日本公開前にすでにアカデミー賞にノミネートされ、そして、主演のフィリップ・シーモア・ホフマンが、主演男優賞を獲得していました。
また、映画のメインとなる彼の著作、「冷血」も、有名な作品だったので、まず、本を読んでから映画を見ようと思っていたのですが、なんと、公開映画館が少なくて、結局、映画館では見ることが出来なかったと言う、私にとって曰く付きの映画。やっと見ることが出来ました(^^)。
この映画のすばらしいところは、やはり、フィリップ・シーモア・ホフマンですね。カポーティのしゃべり方や、立ち居振る舞いをとことん模写していたのではないでしょうか。
これを見ると、パーティーでは、彼の名声と、おしゃべりで人気者になってはいましたが、実のところ、孤独な人間。だから、彼は、自分と同じように複雑な家庭環境で、身体的な劣等感を持つペリー・スミスに、ことのほか、思い入れを持ったのかもしれません。
でも、彼は、根っからの作家でもあるわけで、ペリーと親しくなり、彼の心の中をうかがい知ることは出来ても、それを知ってしまった後は、一刻も早く本として完成させたい。そのためには、ペリーに生きていてもらっては困る。また、著作のために、さんざん利用したペリーが心待ちにしている本の題名が「冷血」だなんて、本人に知られたくない。そこら辺は、カポーティ自身の冷血な面も表現されていたと思いました。
また、彼の友人のネルが、「アラバマ物語」の作者ネル・ハーバー・リーであったのは驚きで、最初は、ただの助手かと思っていました(^^;。その彼女が、ピューリッツァ賞を受賞したり、「アラバマ物語」が映画化され、大ヒットした時期が、カポーティの「冷血」の執筆時期と重なり、彼の焦燥感をさらに深くした様にも思えます。
ネルを演じたのは、キャサリン・キーナー。一見普通のおばさんなので、アカデミー賞授賞式なんかに列席していると、どうしてこんなおばさんが?!なんて、失礼なことを思ってしまうのですが、そんな普通なところが彼女の魅力ですね。
ただ、この映画自体は、彼の作品「冷血」を知らないと、物足りない映画なのではないかと思います。カポーティを描いている映画ではあるのですが、「冷血」に関わった頃のカポーティを限定して描いているわけで、この事件と、彼が重点的に取材したペリーについての描き方が、ちょっと薄いように感じました。
ところで、カポーティは、冷血を発表した後は、あまり著作もない代わりに、「名探偵登場」という映画に、富豪役で、出演しています。面白い人ですよね〜〜(^^)。その後、アルコール中毒などのため、59歳で亡くなったそうです。
と言うことで、「冷血」は、すでに読んでいるので、今度は、映画の「冷血」を見ることにしましょうか(^^)。(2008,02,26)
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